
こんにちは、Atelier Aliceオーナー
イラストレーターの 歓崎花鈴 です。
今日はこのアリスのトートバッグについて
じっくりご紹介したいと思います。
実は出来上がるまでにいろんなことがありました。
イラストが誕生するきっかけ
この横顔のアリスのイラストは、
私が大人になってアリスの原作を読み返した時に
「アリスってこんな子だったんだ!」という衝撃を受け
そのイメージで描いた、最初のイラストです。

「こんな子」っていうのは
例えばアリスで有名なのはディズニーのアニメですが
女の子らしく可愛らしくなっていますよね、演出上かなあと思います。
でも本当は(原作は)男の子みたいな好奇心があって
権力にもこびないし(女王様とか)
泣いたり怒ったり
自分の頭で考えてどんどん冒険していき
変な個性のキャラクターが目白押しなんだけれども
それを楽しんじゃうという、そんな子なんだなあと。

ぜったいに王子様の助けを待つようなヒロインでない。
私自身は大人しく暗い子ども時代を送ってきましたので、
そんな行動的なアリスは眩しく見えました。
人や周りに合わせるのでなく、自分で考えて行動するアリス。
可愛らしくニコッと笑っているのでなくてね。
仏頂面なアリスの絵も原作らしくていいじゃない。
そうして誕生したイラストです。
この絵はワンピースをデザインしてくれたお友達も気に入ってくれて
このブランドを作るきっかけになった記念のイラストです。
トートバッグ誕生までの道のり
さて、それからしばらくして
デザインフェスタに出展するにあたって
トートバッグを作りたいと思いました。
いまどきはSUZURIさんなどのサービスもあり、
一枚からプリントできるのですが
試してみたところ、熱転写プリントなのか、
色が薄かったのです。
納期もその時は1ヶ月以上かかりました。
それに割高で、自分用なら良いけれど商品として販売するのは無理。
Atelier Aliceというブランドは、
好奇心でいっぱいのアリスへの憧れと
品質が良くて長く愛しんで使える雑貨を目指しているので、
仕上がりに妥協したくありません。
それでシルクスクリーン印刷にしたいと思いたちました。
シルクスクリーンは一般の人はあまり知らないかもしれませんが
耐水性のインクで、版画ができるようなイメージです。
要するに、昔流行ったプリントゴッコの本物みたいな。
シルク(絹)で版を作るので、お値段がはります。
それに刷るのに経験がいるし、もちろんインクも道具も要りますよね。
なんで知っているかというと、高校の美術部でやったことがあるから。
そんな大変なんだけどもインクがしっかり生地になじみ、
くっきりしてとても綺麗だしお洗濯にも耐えます。

でもこういう細かい線の絵は、普通シルクスクリーンに向かないので
無理だろうなあと思って
ダメもとで手刷りのシルクスクリーン工房さんを探し、
伺ってみたところ・・・
試してみますと言ってくださったのです。
こんな無名なイラストレーターで
大ロットを注文する約束もしていないのに。
今思い返してもすごい。
そんな厚かましいことを頼んだ自分にもびっくり。

しかし、上がってきたサンプルは
線が潰れて、チェシャ猫が真っ黒になってしまっていて
だいぶ怖い・・・(汗)
細い線がかすれてもいいから、インクの量を加減できませんかと
お願いしたところ
今度は素晴らしい仕上がりで出来上がってまいりました。
職人さんの腕にかけて、線がかすれるのはタブーだったみたいで。
全ての栓をしっかり出すことを目指してくれていたみたいです。
でも書道も絵も、かすれは勢いで、良いこともありますよね。
そうして、二度ほどのやりとりをして(データサイズの間違いもあり!)
ようやっと出来上がったトートバッグなので感慨深いのです。

↑これはまだ銭が太かったときの作品。
一度版を作ると、それ以降はまた同じ版を使って刷れるので、
シルクスクリーン印刷は初期費用がかかりますが、
ずっと販売していく商品ならその甲斐はあります。
(その工房さんのためにも、100枚単位で発注できるよう
今年は本気で営業頑張りたいと思います!)
長くなりましたので、続きは次のページに↓